場所

僕はいつも一つの場所に固執する。不思議なものだ。どれだけ一つの場所を大切にしても、残酷な事に季節の変化と共に大切な場所は移り変わっていく。そもそも大切だと感じているのはきっと僕だけであり、固執しているのも僕だけに違いない。人は皆、前を向いて歩みを止める訳にはいかないから。

時の流れと共に街の風景は少しずつ変わっていく。僕が酒に酔い潰れて仲間に介抱されたファストフードはもう無い。そこに行けば自然と誰かが居たカフェにはもう誰も当時の人は居ない。そして、僕達がいた最も大切な場所はもう姿を変えてしまった。

過去に固執するのは良くない事だと思う。その中でも特に自分だけ何かに縋っているのはかっこ悪い事だと思う。みんな一つ一つ社会人として駒を進めていくのに僕だけは同じ場所で同じような過ごし方をする。これが正しいか間違っているかは未だわからない。

僕はこの数年間、気持ちを込めずに時間を使ってしまったのかもしれない。悲しいくらいにここ数年間の記憶が曖昧だ。きっと気持ちを込めずにいる限りは次の大切な場所は生まれない。

何気無い日常の中で到底理屈では割り切れないものをふと感じる瞬間があった。ああ、自分は人間なのだなと強烈に感じた。何気ない日常の中で、ただ通い慣れ始めたお店でお酒を飲んだだけなのだけれども。ただ、その場で自分はもっと色々な人と話さなくてはならないと感じた。

もしかしたら、この何気無く立ち寄った飲み屋も徐々に通うペースが増えてきているが自分にとっての新しい意味のある場所になりつつあるのかもしれないと思い少し嬉しかった。これからまた一つまた一つ大切な場所を失うだろう。でも、その分だけきっと大切な場所を僕は見つけていくに違いない。

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